美味しいコーヒーが飲みたいね
小さなお鍋のために
ミニ五徳

ミニエキスプレス インダクション


あきちゃんのご飯

風邪をひかない様にね。
第一章:電話のあとの、ちょっとした自己嫌悪
久しぶりに昔の仕事仲間から電話があった。懐かしい声を聞くと、
気分は一気にあの頃に戻っちゃうね。都内のオフィスで、
Illustratorの画面とにらめっこしながら、
あーだこーだと企画を練っていたあの頃に。
でも、電話を切った後、受話器を置いた瞬間に訪れる静寂の中で、
なんだかドッと疲れが出た。楽しかったはずなのに、
なんでだろうって考えたら、自分の話し方が気になっていたんだ。
「あんた、それはないんじゃない?」とか「もっとこうすればいいのに」
とか、ついつい口調がきつくなっちゃう。昔からの悪い癖ね。
仕事辞めてから、今は「空港に近い家」と「海に近い家」を
行ったり来たりする、悠々自適な2拠点生活。…
なんて言うとかっこいいけど、実際は暇を持て余し、
漫然と時間を過ごしているだけの毎日よ。
手こずっていると言えば、今一緒にいる1歳3ヶ月のイタリアングレーハウンド
じっとしてないんだから。
そんな生活の中で、もっとこう、年齢に見合った「上品で穏やかな言葉遣い」
ってやつを身につけたいなって常々思ってるわけ。ゆっくりと、
相手を包み込むような優しい話し方。憧れるわぁ。
でも、根っこの性格ってなかなか変わらないものよね。
電話の向こうの彼女も、「相変わらずね」って苦笑いしてたかもしれないわ。
ごめんね、悪気はないのよ、本当に。
第二章:お手製のコートで、道の駅へ
そんな自己嫌悪に陥ってても仕方ないから、気分転換に出かけることにした。
お昼過ぎの空気は少し冷たいけど、澄んでいて気持ちがいい。
出かけるとなれば、服選びも楽しみの一つ。私のクローゼットには、
既製品の服はほとんどない。下着以外は全部、自分で縫ったものだから。
今日の気分は、このネイビーのウールコート。生地の質感に一目惚れして、
裏地にもこだわって仕立てたお気に入りの一着。
デザインの仕事をしていたせいか、色や形にはうるさいのよ、私。
車を走らせて向かったのは、いつもの道の駅。
地元の新鮮な野菜や果物が並ぶ、あのごちゃごちゃした活気が好き。
スーパーみたいに整然としすぎてないところがいいじゃない?
掘り出し物を探す感覚で、ついつい長居しちゃう。
第三章:幻に終わった「季節の走り」のいちご
道の駅に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのは、鮮やかな赤色。
いちごよ!そう、もうそんな季節なのね。「季節の走り」のいちごなんて、
贅沢じゃない?
箱に綺麗に並べられたいちご達は、まるで宝石みたいにキラキラしてて、
「私を連れて帰って!」って訴えかけてくるようだった。
大粒で、形も整ってて、ヘタの緑色もピンとしてる。
これは絶対に美味しいやつね。
お値段は…まあ、走りだからこれくらいはするわね、という価格設定。
でも、たまの贅沢だもの、いいじゃない?
そう思って、手を伸ばしかけたその時。隣から、「あらやだ、奥さん、
これ高いわよ!まだ時期じゃないから、やめときなさいよ!」って、
結構なボリュームの声が聞こえてきた。
見ると、そこにはいかにも「ベテラン主婦」といった風情の、
おそらく私と同世代か少し上のお姉さま方が数人。彼女たちの「
高いからダメよ!」という囁き(というには大きすぎる声)は、
まるで絶対的な命令のように私の耳に響いた。
その一言の威力たるや、すごかった。
さっきまであんなに輝いて見えていた宝石たちが、一瞬にして
「ただの高い果物」に見えてきちゃったんだから不思議。
私のときめきを返して!って感じだけど、彼女たちのあの自信満々な態度に
気圧されちゃって、結局、「そう…よねぇ、まだ早いかしらねぇ」
なんて愛想笑いを浮かべて、そそくさとその場を離れた。
まったく、おばちゃんパワーって恐ろしいわ。私もその一員なんだけど。
第四章:言葉の持つ力、そして反省ふたたび
結局、いちごは買わずじまいで帰宅。
夕暮れ時、ソファでくつろぐイタグレの細長い脚を撫でながら、
今日の出来事をぼんやりと思い返していた。
あのおばちゃんたちの言葉、強烈だったなぁ。
「高いからダメよ!」ってたった一言で、私の購買意欲を
完全に消し去ったんだから。
言葉って、使い方次第でこんなにも強い力を持つものなのね。
…あれ、待てよ?
そこでふと、昼間の電話での自分のことを思い出した。
私のあの、ちょっときつい言葉遣い。
あれも、相手にとってはあのおばちゃんたちの「ダメよ!」と同じくらい、
あるいはそれ以上に、強く響いてしまっていたんじゃないかしら?
私が何気なく発した一言で、相手が何かを諦めたり、
傷ついたりしていたとしたら…。そう考えると、なんだか急に怖くなってきた。
自分の言葉の持つ影響力、もっと自覚しないといけないな。
あのおばちゃんたちのおかげで、大事なことに気づかせてもらった気がする。
幻に終わったいちごは残念だったけど、
まあ、いい勉強代だったと思うことにしましょう。
明日からは、もう少しだけ、言葉を選ぶように意識してみようかな。
ゆっくり、優しく。…まあ、あくまで「努力目標」ってことで、ね。
三日坊主になったら笑って許してちょうだい。

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